見るドラッグ「ベイビー・ドライバー」
今回は、エドガーライト監督作品の「ベイビー・ドライバー」について書いていきます。
「ベイビー・ドライバー」がどんな作品かというと、カーチェイスを主としたクライム映画です。タイトルに「ドライバー」とはいっている分かるかと思いますが今作の主人公ベイビーは運転手(ドライバー)です。
劇場公開当時から気になっていた作品でもあり、先日店頭で見かけたBDが安かったのでつい購入してしまいました。
予告動画
全ては冒頭に
お決まりと言えばいいのでしょうか、カーアクションものは大抵カーチェイスから始まります。
その場合、冒頭でどれだけ観客の心を掴めるかが重要なのですが、今作に関してはそこは完璧です。
とにかく冒頭のカーチェイスがカッコいい
主人公のベイビーは常にイヤホンをつけて音楽を聴いているのですが、その音楽と映像がリンクしていて爽快感が高まるんですよね。ただでさえカッコいいカーチェイスの画にノリノリの音楽がついたら最強、ドラッグです。
主人公が表情1つ変えずにもの凄い運転してるってのがいいんですよ。仲間たちが仕事を終えるのを車内で1人待っているときは、音楽に合わせてワイパーを動かしたりしてノリノリなのに、いざ運転を始めると鉄仮面をつけたかのように無表情になるギャップがいい。
逃走もただぶっ飛ばして振り切るだけじゃなくて、似たような車をうまく誘導して警察を撹乱させるなど工夫があって見応えがありました。
どれだけ興奮する映像なのか言葉じゃなかなかうまく説明できないですね。画像で見てみましょう。
これは僕の車です。ベイビー・ドライバーをみた直後の運転でこうなりました。
はい、そうです。冒頭のカーチェイスで興奮した僕は、調子に乗ってノリノリで運転してたら縁石に擦ってしまったのです。
人間をこれほど興奮させる魅力が冒頭のカーチェイスに込められているのです。
車に傷が生まれるほどの魅力とはどんなものか、皆さん気になりますよね?
実はその冒頭のシーンが公式にアップロードされているのです!
しかし良くも悪くも、この作品の魅力は序盤に詰め込まれすぎているのです。
恋の描写不足
ベイビーは店のウェイトレスと恋に落ちるのですがその流れが不鮮明。
出会いから初デートまでの流れは問題なく受け入れることができます。ですがその後の終盤にかけての、2人の関係の進展がいまいち腑におちないんです。
中盤にベイビー達はドジを踏んで警察から追われる身になるんですが、ベイビーは彼女を連れて逃げ出そうとします。一度は仲間にバレて失敗するんですが、再び逃げ出そうと彼女の元へ行きます。
これはよくある展開ですよね。問題は2人の関係性にあります。
2人はたった一度レストランで食事をしただけの関係です。(作中では1度しかデートの描写はありません) そんな薄い関係性で、しかもヤバイ組織に属していると思われる犯罪者から「一緒に逃げよう」と言われてついて行きますか? 行きませんよね? 僕だったら絶対断ります。
ですが彼女はベイビーに着いて行くのです。たった1度食事をして共にしただけの男と。命の危険があるのに。正直ここは理解できませんでした。
ベイビーに関して
主人公であるベイビーに関しての描写もなんだか足りない気がしました。
ベイビーは幼い頃に車の事故で両親を失ってるのですが、その設定が生かされているように感じられませんでした。
車で家族失っているのに、車を使った仕事に就いている。そこに何か理由があり、それを描写しているなら納得できるのですが、それがありませんでした。少なくとも僕がみた限りでは
また、ベイビー暴力を嫌うというか設定があり、仲間達が人を殺めるのを嫌悪するというと描写が何度かあるのですが、終盤でベイビーは2人ほど人を殺めているのです。事故ではなく故意に。
これも理由がよく分かりません。本当に突然殺し始めるんですよね。まあ殺した相手は犯罪者で、彼らが何人も殺すことに怒っていたのかもしれませんが、自分で殺っちゃったらダメでしょう。
ベイビーはドライバーなんだから、力に訴えるんじゃなくて最後まで運転技術で逃げ切って欲しかった。
総評
結論としては、「冒頭が面白さのピークだった」
映像や音楽は良いんですが、ストーリーや設定がイマイチ練られていないという印象を受けました。カーチェイスが少ないのも問題。
冒頭が本当にいいだけに勿体無い気がしてならないです。冒頭だけなら、これまでみた映画の中で上位に入りそうなほどです。
冒頭シーンは何度も繰り返し見たくなる中毒性があります。ドラッグです。
もう一度冒頭の公式動画を貼っておくので是非見てください。