多趣味な男のブログ

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アイアンマンとの関係性から見るMCU版スパイダーマン

 これまでにスパイダーマンは3度映画化されてきました。

 

1度目は、サム・ライミ監督版「スパイダーマン1・2・3」以下初代

 主演はトビー・マグワイア 

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2度目は、マーク・ウェブ監督版「アメイジングスパイダーマン1・2」以下アメスパ

 主演はアンドリュー・ガーフィールド 

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 余談ですが、同じくマーク・ウェブ監督作品の「Gifted*1」がとても好きです*2。主演はキャプテン・アメリカで有名なクリス・エヴァンス。是非見てもらいたいです。また、同監督はハリウッド版「君の名は。」の監督にも決定しています。

 

3度目は、ジョン・ワッツ監督版「スパイダーマン:ホームカミング以下ホムカミ

 主演はトム・ホランド 

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 どうでもいいけど本編にスパイダーマンとアイアンマンが並んで飛行するシーンはない

 

 どのシリーズもそれぞれ違った良さがあり全部好きです。

 その中でも今回は、MCUに含まれて他作品との関わりを持つことでスパイダーマンの魅力がより深められている、現在展開中のホムカミについて詳しく書いていきます。

 

 

 アニメ映画のスパイダーバースは見ていません。友人が絶賛していたので円盤化されたら見ようと思います。

 

 

3シリーズの設定の差異

 3シリーズに共通しているのは、スパイダーマンであるピーター・パーカーが学生だということ。スパイダーマンが、突然スーパーパワーを手に入れた学生として設定されているので当然ではありますが。

 そのなかでも多少の差異があり、初代とアメスパはピーターの年齢が高校生と大学生をまたぐように設定されています。それに対して、ホムカミでは高校生(15歳)と比較的若い年齢になっています。

 

 次は力の起源について。

 スパイダーマンのスーパーパワーは、ピーターが蜘蛛に噛まれたことで発現したものです。これについては、すべてのスパイダーマン作品に共通します。

 その力を得る描写に関してなのですが、初代とアメスパは、しっかりと力を得るところを作品内で描いてます。ですが、ホムカミは力を得るシーンは描かれていません。力の起源への言及は、親友のネッドとの会話で少し触れられた程度に抑えられています。

 その理由としては、初代とアメスパですでに二回も映画化されているため、わざわざ描かなくても大きな問題はない。また、力の取得シーンを省くことでヒーローとしてのスパイダーマンの成長過程に重点を置けるなどの理由が挙げられています。この大胆な試みは成功したと言っていいと思います。

 

  次は糸の射出方法に関して。

 スパイダーマンといえば、ニューヨークの街を縦横無尽に動き回る印象が強いです。その際の移動手段として活用する糸に関する設定が大きく2つに分かれます。

 初代では、スーパーパワーの一環で糸の生成能力を獲得しているため、自分の手首から直接糸を射出しています。

 一方でアメスパ、ホムカミは糸を出す能力はピーター自身に備わっておらず、ピーターが自作したウェブシューターと呼ばれる機械を手首につけて、そこから糸を射出しています。

 どちらが好きか嫌いかは別として、原作のアメコミではウェブシューターを使って糸を射出していて、手首から直接糸を出している訳ではありません。

 僕自身、幼い頃初代を見て初めてスパイダーマンを知った身としては、アメスパを見たとき違和感のようなものがありました。今では、どちらの設定もありだと受け入れています。

 

 

ホムカミの特徴

 まず前提として、これまでと違って設定年齢が15歳と低いことが関係してきます。

 初代、アメスパ共に物語開始時点ではピーターが18歳前後という設定ですが、主演の実年齢が20代後半であったためにどうしても見た目が作中年齢が高く見えてしまいました。

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初代主演のトビー・マグワイア 1作目公開当時27歳

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アメスパ主演のアンドリュー・ガーフィールド 1作目公開当時29歳 ※画像はアメスパ2

 その点、ホムカミでは公開当時トム・ホランドが20歳と比較的若かったので、見た目もティーンエイジャーに近く、よりリアリティが生まれました。

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ホムカミ主演のトム・ホランド 公開当時20歳

 ただ年齢が低いだけではありません。ホムカミでは15歳という思春期真っ只中の少年の心理を物語の中心に据えて展開されていきます。そうすることで、誰もが感じたことのある学生時代の苦い思い出などを呼び起こし、「親愛なる隣人」をより身近に感じさせるといった演出に仕上げているのです。

 力を得て活躍している自分を知ってもらいたいという自己顕示欲、承認欲求。それらが物語の前半にファクターとして機能しています。

 具体例としては、友人のネッドがピーターはスパイダーマンの知り合いだと学校の友人達に打ち明けて、パーティースパイダーマンを呼ぶことになってしまうシーンがあります。ピーターは、口を滑らせたネッドを恨むような表情をしますがその場でそれは違うと明確な否定はしません。その後、パーティー会場にスーツを着て、皆の目に登場しようとします。

 ここでピーターは迷います。スパイダーマンとして現れて、自分たちの学校内での立場を上げることや、意中のリズの気を引くことを考えて。その一方で、「これは馬鹿なことだ。何をやっているんだ」と自分で自分を律しようともします。自覚はあるものの、どうしても後ろ髪ひかれてしまう。また、スーツに搭載されているAIのカレンに、リズに自分がスパイダーマンだと打ち明けたらどうだろうかと相談したりします。

 この様に色々な場面で、ピーターは迷うのです。初代、アメスパでの葛藤は思春期特有のそれではなく、ヒーローとしてのあり方を悩んでいるのが主でした。ホムカミではそこではなく、ヒーローに至るまでの少年としての葛藤をメインに描いています。

 そこが、ホムカミの特徴だと僕は考えました。

 

  もう一つの大きな特徴は、アベンジャーズに憧れているということです。これはMCUに属していることならでは。

 「シビルウォー」でわずかとはいえ、アベンジャーズの面々と出会い、共に戦ったことでアベンジャーズという世界的に大きな役割を担う組織に憧れることになります。

 そして空港での戦い以降、トニー・スターク(アイアンマン)に認めてもらいアベンジャーズに入ろうと、自分の力をアピールすることに躍起になります。

 

 

ベンおじさんという存在

  前の項で触れましたがホムカミでは力の取得からヒーロー活動を行うまでの課程は描かれていません。そして、ピーターがスパイダーマンとして活動する契機である「ベンおじさんの死」が描かれていないこともホムカミの大きな特徴です。

 現段階では、作内でベンおじさんについて直接的な言及はなく、彼のスパイダーマンとしての行動理念でもある「大いなる力には大いなる責任が伴う」も言われたのかどうか分かっていません。ですが、それを匂わせる描写はあります。

 それが、「シビルウォー」でのピーターのセリフ

When you can do the things that I can, but you don’t, and then the bad things happen, they happen because of you.

 「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」1:21:12~ より

  作内でこのセリフは「自分にできることをしなくて何かが起きたら、それは自分のせいだと思う」と訳されています。しかし、原文をよくみてみるとすこしおかしなことが分かります

 このセリフは、スタークが「なぜ人を助けているのか」と、ピーターに理由を尋ねたことへの返答の一部です。意訳せず、素直に訳そうとすると「僕(ピーター)にも出来ることをあなた(スターク)がやらなくて、それで何か悪いことが起こったら、それはあなた(スターク)のせいだ」となります。

 おかしいですよね? 文面だけ見ると、スタークを含めたアベンジャーズなどのヒーローを責めているかのように見えてしまいます。しかし、ピーターが言いたいのはそうではありません。

 何がおかしいのかというと、セリフの主体と発話者(この場合はピーター)が合致していないのです。ピーター自身の言葉として違和感のない様に書き換えると「When there are the things that I can, but I don't, and then the bad things happen, they happen because of me.」こんな感じでしょうか。

 どうしてこのようにせず、セリフの主体を「you」にしたのか? その理由として、このセリフがベンおじさんの受け売りだから、と僕は考えています。この言葉を教訓として心に焼き付けているからこそ、あえて主語を「I」に変えずにそのままスタークに言ったのだと思います。

 どの様な理由からかは知りませんが、ホムカミでは「大いなる力には大いなる責任が伴う」というセリフが出てきていません。その代わりとも言える言葉がこれなのかもしれません。

  

 

仲間であり、保護者であり、憧れであるトニー・スターク

 ホムカミの見所の1つ。それはトニー・スターク(アイアンマン)との関係性。

 ピーターを「シビルウォー」での空港での戦いの戦力として見いだし、直々に出向いてスカウトしたのはスタークです。それ以降、未成年のピーターの責任を負う形で、事実上の彼の監督役となります。

 シビルウォー以降直接の関わりはありませんが、スタークがほぼ毎日ピーターから送られてくる報告をしっかり確認していることが分かります。一見無関心のように見えますが実はかなり気を配っているのです。

 そしてピーターが自分の力を証明しようと、勝手に動いて人が死にかける窮地になると、颯爽と駆けつけて彼の尻拭いをして、その後彼に説教します。

 船上での失敗についてピーターは言い訳のように「I just wanted to be like you.(ただあなたのようになりたかっただけで)」と言います。これはその場しのぎのでまかせとも考えられます。それに対してスタークは「And I wanted you to be better.(僕は、君に僕以上の存在になって欲しいと思っていた)」と返します。普段は軽口ばかり叩いて飄々としている印象が強いスタークですが、このシーンでは冗談一つ言わず真剣な面持ちをしています。ピーターのことを真剣に考えているからこそでしょう。スタークはピーターのことに関しては常に真面目なのです。

 そして、スタークはピーターのことをすでに認めているのです。

 先の項で触れた「When you can do the things...」のセリフをピーターが語るとき、スタークは一度居住まいを正します。そしてピーターが言い切ると、少しの間考える素振りを見せます。

 どうしてスタークは15歳の少年が語る言葉に、いつもにまして真摯な態度で耳を傾けたのか? それはピーターが語った内容が、スタークの考えと同じだったからです。

 

 エイジオブウルトロンで、スタークは幻覚の中で全滅したアベンジャーズの姿を見ました。そこでスタークは「You could have saved us. Why didn't you do more?(お前なら皆を救えたはずだ。なぜ手を尽くさなかった)」とキャプテンに責めるように言われます。ここでスタークは、自分が行動しなかったせいで起こる未来を見たのです。それ以降、彼は幻覚だと理解しながらも、幻覚の中で見た光景は決してただの幻ではなくいつか現実に起こることだ、というような考えに至り行動します。来る日に備えるために。

 この「自分が出来ることを人のためにする」という考えが、ピーターのヒーローとしての理念と共通のものなのです。15歳という若さで同じ志をもつ少年を見つけ、スタークは彼に期待し、仲間に引き入れたのです。

 

 2人の関係の極めつけは、インフィニティウォーの終盤のシーン。サノスの指パッチンによってトニーの目の前でピーターが消えるシーンは涙なしでは見られません。何度も繰り返して見ていますが、毎回そこで目頭が熱くなってしまいます。

 ピーターが「嫌だ、行きたくない。行きたくない」と、もがいた後、スタークに向かって「ごめんなさい」と呟いて消える。目の前にいたピーターが跡形もなく消え、残されたトニーの表情。ここで泣かない人間がいるのだろうか。

 最後にピーターが残した「ごめんなさい」が何に対してなのかははっきりとは分かりませんが、最後に恨まれるでもなく謝られたスタークの心境。想像するだけで胸が痛くなります。ただただ悲しい。

 

おわりに

 スパイダーマンと銘打って起きながら、スパイダーマンだけでなくアイアンマンにも語ってしまいました。ですが、ホムカミ版のスパイダーマンを語るには、アイアンマンの存在は切っても切れません。それほど、今回のスパイダーマンの根底に関わっているのです。

 

 初代、アメスパは見たことあるけどホムカミは見たことがない方、是非見てください。単体の映画としても十分楽しめる作品になっているので、他のMCU作品を見ていなくてもさほど問題はありません。現在、NetflixやDisney DELUXEなどの各動画配信サイトで見ることができます。

 また、7月5日に金曜ロードSHOWで「スパイダーマン:ホームカミング」が地上波初放送されることが決定しています*3。続編の「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」も6月28日公開と控えているので、是非それも見て欲しいです。

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 最後に、「Gifted」も面白いのでどうかよろしく!