運命にあらがう物語 FF15小説-The Dawn Of The Future-
FF15の小説「The Dawn Of The Future」を読みました。ので、その感想を書いていきます。いつもならネタバレを避けているのですが、今回は個人の選択に委ねようと思います。
どんな内容なのか
この本の中には、4つの物語が収録されています。以前にDLCとして開発すると発表されたものの、プロジェクトの縮小に伴い開発が中止されたDLCの内容を小説として書き起こしたものとなっています。
- エピソード・アーデン「聖者の迷い」
- エピソード・アラネア「終わりの始まり」
- エピソード・ルナフレーナ「自由への選択」
- エピソード・ノクティス「最後の剣」
この4つが収録されています。以下では、一つ一つ詳しく見ていこうと思います。
ちなみにこの本のタイトル「The Dawn Of The Future」は「未来の夜明け」といったような意味です。
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Epアーデン「聖者の迷い」
この物語は4つの内、唯一DLCとして販売されているものとなっています。
大雑把にどんな物語か書くと「本編のアーデンがどのようにして形成されたのか」という話です。FF15本編では深く語られることのなかったアーデンの壮絶な過去が遂に明らかとなります。
これを見る前と後では、アーデンに対して抱く感情が随分と違ったものになると思います。
Epアラネア「終わりの始まり」
ここではタイトルの通りアラネアに関する話です。時系列的には本編12章でノクト達がテネブラエに到着する前の話。正直、Epアーデンと比べるとシリアス度は低いです。ただここで、本編には登場しなかったキャラクター、ソラーラ・エルダーキャプト・アンティクム、通称ソルが登場します。
このソルというキャラクター、本編では登場しませんでしたが小説版では結構な重要キャラです。この後のEpルナフレーナでの主要キャラとなります。(FF15に詳しい人なら、名前からソルの素性がなんとなくわかるかもしれません)
Epルナフレーナ「自由への選択」
ここからがこの本の本番といったところでしょうか。タイトルの通り、ルナフレーナに焦点を当てた内容となっています。
時系列的には、本編でノクトが10年の眠りから醒める少し前。オルティシエでアーデンの凶刃に倒れたルナフレーナが、神からの新たな使命を受けて生き返ります。
一度死んだキャラが生き返ると物語が一気にチープなものになってしまうのでは? そう思う方もいると思います。確かにただ何の伏線もなく生き返ることになるとチープなものになってしまうでしょう。ですが、ここでのルーナ復活には伏線がしっかりとあります。
エピソードイグニスでレイヴス将軍が「神凪は死してもその使命から解放されることはない」と言っています。生前のルーナの使命は「神の声を聞き、王を支える」といったものでした。しかし、彼女の使命はオルティシエで水神との誓約を終えたると同時に成し遂げたはずでした。しかし、剣神バハムートによりルーナに新たな使命が課され、それを全うするために彼女に再び生命が与えらることとなりました。
つまり、生きるも死ぬも神次第ということです。
ここで大切なのは彼女が与えられた新たな使命です。ここではネタバレを避けるために書きませんが、ルーナに与えられた新たな使命は彼女の運命だけで無く、ノクトや星全ての命運を左右するほどのものでした。
Epノクティス「最後の剣」
10年の眠りから目醒めた直後のノクトの話となります。クリスタルに取り込まれた状態から始まり、クリスタルの中でノクトが何を見たのかが分かります。そしてクリスタルの外に出る。しかし、その先の展開は本編で語られたものとは大きく異なっています。アーデンの選択、ルナフレーナの選択により運命の歯車が違う動きを始めていたのです。
具体的にどう違うかというと、目を醒ましたノクトが最初に出会う人は本編ではタルコットでしたが、小説版ではソルとなっています。さらに、ノクトはイグニス達と再会するのを待たず、アーデンが待つ王都に一人で向かいます。
ここだけでもFF15本編とはだいぶ違った展開であることが分かります。
運命に抗い始めたノクト達がどんな結末を迎えるのか、それは是非ご自分の目で確かめてください。
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Epアーデン「聖者の迷い」
神からシガイをその身に取り込む力を与えられたアーデンは、シガイに悩む民を救うのが神から与えられた自分の使命だと考え、出来る範囲でその身にシガイを吸収していく。一方、弟のソムヌスは兄アーデン一人ではシガイを全て消し去ることは難しく、シガイは全て殺してしまえばいいという考えを持っていた。
衝突する二人。かつては親しかった二人の兄弟はやがて互いを疎むようになっていった。そして、ソムヌスはある企みを考えつく。
アーデンを王の座に。神凪でありアーデンの恋人でもあるエイラは、神々のお告げを聞いた。ソムヌス派から追われる身であったアーデンは王の座への内定を受け、ソムヌスの前に姿を現す。アーデンの姿を見たソムヌスは剣を抜き、アーデンに斬りかかった。咄嗟にアーデンをかばおうとしたエイラが、アーデンの代わりに斬られ、倒れる。
卑劣なソムヌスに天罰を。瀕死のエイラを抱えアーデンはクリスタルに触れる。しかし、クリスタルはシガイに汚染されたアーデンを拒み、エイラもろともアーデンを弾き飛ばした。その後、魂を対の世界に囚われたアーデンは不老不死となり2000年の時を幽閉されて過ごす。
2000年後、二フルハイム帝国のヴァーサタイルにより解放されたアーデンは、ソムヌスへの復讐の想いを込めて、帝国と手を組んでルシスを滅ぼすことに決める。
王都に忍び込むことに成功したアーデンは、王レギスの命を絶とうとする。が、思わぬ存在によって止められる。それは剣神バハムートだった。
そこでバハムートは衝撃の事実をアーデンに告げる。
「お前の使命は王を殺すことではなく、世界に闇を広げること。お前は真の王に殺される生贄であり、それが定められし運命である」とバハムートは告げる。
全てを知り、怒りに震えるアーデン。人々をシガイから救うことはアーデンの使命ではなく、むしろその逆であった。ソムヌスの裏切り、エイラの死も真の王に殺され生贄となるため神が定めた運命だった。
淡々と運命を告げるバハムートに、アーデンは神が定めた運命には従わないと宣言する。
ソムヌス外道過ぎるだろ。それに対して昔のアーデンはまさに聖人。本編で語られるアーデンからは想像出来ないほどの聖人っぷりです。
アーデンが運命に従うのかどうか、これが本編との分岐点となっています。
- 運命に従うのなら本編と同じ結末へ。
- 運命にあらがうのなら小説内で語られる別の未来へ
ノクト達の未来がどうなるか。全てはアーデンの選択に起因することになります。もう実質FF15の主人公です。
弟に裏切られ、神に裏切られて復讐を心待ちに2000年生きた上で、生贄になるために生まれてきたのだと告げられるアーデン。
そりゃつれぇでしょ。
Epアラネア「終わりの始まり」
二フルハイムの帝都壊滅時、准将ロキは皇帝イドラの命を受けて1人の少女を保護した。少女の名は、ソラーラ・エルダーキャプト・アンティクム。皇帝イドラ・エルダーキャプトの孫娘だった。
戦いの最中、ロキからソルの身を引き受けたアラネアはビッグス、ウェッジと共に彼女を育てていくことに。
ゲームでは登場することのなかったイドラの息子の隠し子、ソルが初登場します。アラネアが帝国軍人を退役することとなった経緯とその後の彼女たちが描かれています。
何より、母親としてのアラネアの姿が描かれていたのが良かったですね。なんとなく将来良い母親になるだろうなと思っていた通り、良い母親してました。
Epルナフレーナ「自由への選択」
本編ではオルティシエでアーデンに殺されて以来記憶の中でしか登場しなかったルナフレーナですが、ここでは神から新たな使命を授かると同時に、2度目の命を授かりノクトが眠りについてから10年が経とうという時に蘇ります。
ルナフレーナが剣神から新たに授けられた使命は「真の王に代わり、運命に背いたアーデンを倒す」こと。そのために剣神はルナフレーナにアーデンを倒すために力、シガイをその身に吸収する力を与えた。同時に、ルナフレーナは真の王の使命の結末を知る。
世界を闇から救うため、ノクティスを生かすため、新たな使命を胸にルナフレーナは闇に包まれた世界をソルと共にバイクで旅をする。
旅をする中で何度もシガイと遭遇した。そのたびにルナフレーナは神から授かった力でシガイをその身に取り込んでいった。しかし、神凪の力を持ってしてもシガイの力を完全に消し去る事は出来ずルナフレーナの身は、かつてのアーデンと同じく徐々にシガイに毒されていった。
遺跡の調査に向かいそこでシガイに破れたアラネア。ルナフレーナ達が助けに来たとき、すでにアラネアのシガイ化は始まっていた。アラネアを助けるため、彼女のシガイをその身に引き受ける。アラネアはシガイから解放され無事だったが、ルナフレーナはそうではなかった。溜め込みすぎたシガイの力は抑えきれず、ついにルナフレーナの外見はシガイのそれと化した。正気を取り戻したアラネア達にシガイと判断され殺されそうになるもソルが皆を説得し、ルナフレーナは手足を拘束されて囚われるだけに済んだ。
意識を失っている最中、ルナフレーナはゲンティアナと再会する。そこでゲンティアナはルナフレーナに伝える「剣神を信じるな。あなたの使命はアーデンを倒すことではない」と。剣神はシガイの力を集めたルナフレーナを生贄に究極召喚(テラフレア)を発動し、人間もろともこの星を破壊しようと企んでいるという。剣神への怒りを抱くルナフレーナ。
彼女は一人で王都インソムニアへ向かう。だが、もはや彼女の目的はアーデンを倒す事ではなかった。ルナフレーナは、かつて自分を殺した男アーデンに言う。
「私に、協力していただけませんか?」
神凪として神を信仰していたルナフレーナが神と離反し、本編のラスボスであったアーデンに協力を申し出る。本編を知っているから尚更アツイ展開です。
それよりも本編では出番が少なかったルナフレーナの事を良く知れたのが嬉しいです。本編でもう少しルナフレーナの出番を多くしてくれればなあ……
それよりルナフレーナが真の王が使命を果たした後どうなるのか知らない事に驚いた。てっきり知ってるもんだと思ってたから。それにしても、命を賭けてまで運んだ指輪のせいでノクティスが命を落とすことになると後で知らされるってツラすぎだろ……
Epノクティス「最後の剣」
クリスタルに取り込まれたノクトは10年の間に、2000年の記録を見せられる。
アーデンの過去、歴代の王の一生、ノクトの知らなかったルナフレーナ、イグニス、そして父レギスの想い。
全ての人の思いを知ったノクトに剣神は真の王の運命を告げる。自らの運命を知り、死を恐れるノクト。だが、2000年の歴史を見せられたノクトに全てを捨てて逃げ出すという決断はできるものではなかった。
Epノクティスのネタバレはあえてここまでにします。アーデンの選択、ルナフレーナの選択がノクトたち星の運命をどう変えたのか。是非本を購入して確かめてください。
おわりに
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(通常版と小説自体の内容は変わりません)