多趣味な男のブログ

興味を持った色々なことについて書いていきます。

自作小説の振り返り

 私は去年の五月頃からカクヨムにて、小説の執筆を行っています。

 年が明けたこのタイミングで、昨年に書いた自作を振り返って反省点などを見つけ出し、今年の活動に活かしたいと思います。

 ……正直なところ、まだ執筆経験は1年にも満たず未熟であることは重々承知で過去作など振り返りたくないのですが、自分に足りない所を確認しなければいつまでもスキルの向上は見込めないと思うので心を強く持って振り返ります。

 では、早速やっていきます。

 

 

 

1作目「映画と僕と彼女」

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5万字の中編小説です。

簡単なあらすじ

「毎週木曜の夜に映画館に足を運ぶ大学生の村瀬祐一は、とある女性に想いを寄せていた。その女性も、村瀬と同じで毎週木曜の夜に映画館へ姿を現わしていた。ある時、村瀬は思いきって彼女に声を掛ける。だが彼女はそれに応えなかった……」

 

問題点

  • 一文が短く、それが連続して並んでいるせいでブツ切りのようになっていて読みづらい

 ただ淡々と言葉を並べているようで無機質で固い印象を受けました。読みづらいというのはそれだけで大きなマイナス点になります。その原因は、この頃はどう書けばいいのか分からずにただ思い付くままに言葉を並べていたせいだと思います。

 

  • 無駄に細かい描写が多い

 これは短文が続いているということに関係しているのですが、いちいち主人公のどうでもいい動作を描写しがちです。そのせいで無駄な情報が多くなり、何がどうなっているのか分かりづらくなっていました。たぶん、どこを省略していいのかまだ分かっていなかったのだと思います。

 

  • 1シーンが異常に短い

 短文で淡々と進んでいくせいか、気が付けばすぐに場面が切り替わっていることが多々ありました。そのせいでどんどん話だけが先に進んでいって、読んでいる側はその展開に置いてけぼりに。特に初めてのヒロインとの会話シーンはセリフの連続であっという間に終わってしまって、もう何がなんだかわかりません。あまりにもあっさりしすぎて自分でも笑ってしまったくらいです。

 

総評 ダメ

 

 自分で読み返していて、途中からはもう恥ずかしさで一杯でした。ああ、もう読みたくない、と。けど己を律してなんとか最後まで読み切りました。

 色々と問題はありましたが、一番の問題は文章の読みづらさだと思いました。文章が下手だともう全てがダメに見えます。

 褒められるべきところは、一応完結させたという所でしょうか。最後まで書いたことで今こうして振り返ることができているので、ダメだということを浮彫りにしたという意味では良かったのかなと思います。

 少し言い訳をすると、1万字以上の話を書いたのはこれが初めてだったのでどうか書けばいいのか分からなかったんです…………はい、言い訳になりませんね。

 ともかくこの作品は問題点だらけでした。

 そんな作品を読み、感想まで書いて下さった方がいたことには感謝と申し訳なさしかありません。

 

 それでは次に移ります。

 この先、少しでもマシになっていればいいのですが……

 

 

 

 

 

2作目「1日1つ掌編」

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 当時の自分も「これはいけない」と思ったのでしょう、毎日3000字程度の掌編小説を書くという小説トレーニングを開始しました。ただ結果としては1ヶ月つづけることは出来ず、三週間程度でギブアップしてしまったのですが……。

 では見ていきたいと思います。

 

 

 

 ……悪くはない気がする。

 改めて自分で読み返してみてそう思いました。自分で書いたのだから自分好みの話であることは当然なんですが、今読んでもそこまで悪くはない、というのが率直な感想です。もちろん色々と荒さがあったりはしますが、どれもコンパクトにまとまっていてなかなか。

 

 ただそれでも問題点がないわけではなく「アイデア一発勝負」感が否めません。どれもそれなりに面白いと自分では思いましたが、それはあくまで掌編としてです。掌編の性質上少しでも「おっ」と思わせればいいという感じなので、話の面白さとは少し違うきもします。事実、後半はネタ切れで中断してしまいました。私が求める物語の面白さとは少し違う気がしました。

 けれど、毎日1つの話を書くというのはとても良い訓練になったと思います。

 まだ今度チャレンジしてみたいです。

 

総評 練習の成果あり

 

 

 

3作目「雨のまにまに」

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 あらすじ

「どうして梅雨が起こるか知ってるか?」
梅雨を目前にした五月、草閒は憧れの先輩稲田と出会った。それと同時期に、後輩の穂坂からも好意を寄せられる。草閒が二人の間で気持ちを揺らす最中、西日本が梅雨入りを果たす。だが、その雨の背後にはなにやら不穏な動きがあった。

 

 十万字越えの初長編です。

 最初の作品と比べると、多少は読める文章を書けるようになっている気がします。好きな作家の小説をいくつか写経して、自分なりに分析してみた成果かもしれません。文章を書くことに慣れ始めたのも関係していそうです。

 

 

反省点

  • どこか説明臭さがある

 この作品は、話の根底に日本神話に出てくるヤマタノオロチ神話を据えているんですが、どうもそういった神の話題に触れる時に不自然な説明になっているような感じがしました。この話を書くに当たって、古事記日本書紀を読んだり、稲作と神の関係について書かれた本をいくつか読んだりと下調べを入念にしたのですが、それらをどうにかして話に組み込もうとした結果、露骨に説明臭くなってしまったのかもしれません。

 

  • 話を先に進めることばかりで、キャラクターが生きていない

 キャラクターが話の為に動かされている感じがして不自然です。心理描写もどんなキャラなのかもやはり曖昧なままになっています。自分なりに色々どうしてそうなったのかと理由は考えてはいたのですが、それを全く表現できておらず結果として突発的な行動に見えていました。自分では分かっているつもりでも課程は省いてはダメですね。丁寧に書かなければ。

 

  • やっぱり1シーンが短い

 ポンポンと話が進んでいくので情緒性がなく、感情移入する時間がありませんでした。これも書くときにストーリーラインありきでキャラクターがどこかないがしろになっているからだと自分では考えました。また1シーンが短いせいで、場面転換が多くなりそのせいで個々の場面描写が疎かになりがちという問題も同時に起こっているように見えました。

 

総評 描写不足

 シーンが多い割には、個々の描写が不足していてスピード感がおかしくなっています。もっと各シーンでの描写を濃くして、シーンの数を減らすべきでした。

  ところどころ自分で読んでいて「おっ、ここの表現はまあまあ。このときの俺も頑張ったな」と思える箇所はいくつかあるのですが、それでもやっぱり荒さや未熟さが目立ちました。自分で読み返して、ここはもっとこうできるとか、ここはもう少ししっかりと文字数を割いて描写するべきだったなど、どんどんと改善点が見つかります。つまり、当時と比較してそれが分かる程に成長したということですね。なるべく前向きに考えていきます。

 また、ところどころ唐突に視点主が切り替わっている箇所があり、一瞬誰の言動か分からないことがありました。三人称視点で書いているとはいえ、やっぱり読みづらかったのでやっぱり多用は禁物だと再確認できました。

 

シーン数について

 ここで少し、自作「映画と僕と彼女」「雨のまにまに」では、一体いくつのシーンで構成されていたのかを確認しようと思います。そして、プロが書いた作品と比較して見たいと思います。なお、ここでのシーンの定義は「話の流れが切り替わる単位」として数えます。

 

自作「映画と僕と彼女」

文字数 約5万字

シーン数 28 

 

自作「雨のまにまに」

文字数 約10万字

シーン数 50

 

 この数字だけを見ても、多いのか少ないのか分からないので、同じようにプロの作品をシーン毎に分けて数えてみます。

 

米澤穂信著「いまさら翼といわれても」収録『いまさら翼といわれても』

文字数 約4万字 

シーン数 8

 

越谷オサム著「階段途中のビッグノイズ」

文字数 約15万字(推定)

シーン数 33

 

 

 表にしてみるとこんな感じです。

作品名 映画と僕と彼女 雨のまにまに いまさら翼といわれても 階段途中のビッグノイズ
文字数 50,000字 100,000字 40,000字 150,000字
シーン数 28 50 8 33
文字数/シーン数 約1,786字 約2,000字 約5,000字 約4,545字

 

 データが少ないのでこれだけでは比較としては不十分ですが、それでも出てきた数字を見ると一目瞭然。自作の1シーンに割いている文字数は、プロの作品と比べて半分を下回っています。ただでさえ文章能力に差があるのに文字数も足りてなければ、読んでいて展開が早く感じるのも当然といえます。

 自作の問題点が一つ明らかになりました。

 

 

おまけ

クリストファー・ノーラン監督作品「 ダークナイト

(小説ではありませんが、とても好きな作品なので調べてみました)

上映時間 2時間30分 

シーン数 40

 映画と小説は媒体が違うので単純にシーンの数で比べることはできませんが、世界的に名作と呼ばれる映画ですら40シーンでした。10万字の分量を読むのにかかる時間も大体3時間程度だと思うので、そう考えると自作の50という数は少し多いです。さらに、そこに媒体の特色を加味して考えます。映画は文字だけの小説と比べて、映像で情報を伝えるために時間当たりの情報量が多いと言えます。それでいて40シーンなので、そう考えると10万字の小説で約50シーンというのは異常な数だと言えると思います。

 

 

 

 

 

4作目「あんたはここでふゆと死ぬのよ」(シャニマス二次創作)

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 アイドルマスターシャイニーカラーズ(通称シャニマス)に登場するキャラ、黛冬優子の二次創作小説です。これが自分の初めての二次創作でした。

 

 これまでの執筆経験から、自分に足りていないのはキャラクターを生み出す能力だとは薄々気がついていました。「それじゃあ既存のキャラを使って物語を書いたらどうなるのだろう」と、半ば実験の意味合いも込めてこの話を書きました。

 結果としては、自分ではそれなりに上手くいったんじゃないかな、と思ったりしています。すでに存在しているキャラの思考をなぞって、このキャラならこうするだろうと考えながら書くことができたので筆もすんなりと進みました。ただ、タイトルから分かるとおりほぼ勢いで書いたので、荒さはあります。

 この経験から、「やはりキャラをしっかりと作るのは大切なんだ」と改めて感じました。

 

総評 キャラは大切

 

 

 

 

 

5作目「きじょうの空論」

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 5万字の中編小説の2作目です。

 コレを書いたときは、どうにかして魅力的に見えるキャラを描こうと、それを大きな課題としていました。今もそれは変わっていませんが。そのためか、これまでと比べて主人公の心理描写がだいぶ多くなっています。ただ、少し多すぎたかなという気も今見返すと思いました。でも足りないよりは良かったのかなとも思います。

 シーンに対する描写の分量に関しては多少は改善されていますが、それでも油断したのかところどころ展開が早くなっている箇所があります。

 

 全体的には良くなっていると感じましたが、けれどやっぱり問題はあって、どうしてもキャラが弱い気がしてなりません。特に台詞回しが不自然に感じてしまいました。現実の人間味を出そうと思ったのか「うん」や「そう」などをやたら使っています。そういうことじゃないだろう。会話シーンに面白さが内のは致命的です。

 

総評 成長を感じる。が、まだまだ。

 もっともっと面白く出来る、改善できる要素がたくさんあります。

 

 

6作目「忍びよる影」

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 カクヨム上で行われていた「5分で読書」短編小説コンテストに応募するために書いた、5千字程度のホラー短編です。私はホラーが苦手なのですが、ホラーに挑戦してみました。

 私が考えるホラーとは日常を侵食するような怖さにあると思うので、影というどこにでもある物を題材にして書きました。

 今改めて読み返すと、どこか淡々とした印象を受けました。原因は既に分かっているように、一文が短く、心理描写が少ないからですね。規定の文字数にも余裕があったので、もう少し主人公の心理描写を散りばめた方が怖さを引き立てられたのではと思います。ホラー系の文法が分かっていませんでした。

 

総評 勉強不足

 ホラー映画は怖くて見れないので、次ホラー系を書くときはホラー小説をいくつか読んで勉強したいと思います。

 

 

 

 

7作目「女神の前髪を引っこ抜け!」

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 こちらも同じく、カクヨムの「5分で読書」短編小説コンテストに応募するために書いたものです。これはホラーではなく、ポーカーを題材としたものとなっています。

 ポーカーを描くに当たって、これまで触れてきた作品の中でポーカーのシーンが出てきた物をいくつか見返しました。具体的には、「007 カジノロワイヤル」と「マルドゥック・スクランブル」です。

 

 結論から言うと、失敗しました。何を失敗したのかというと題材選びに関してです。

 ポーカーを題材にしたせいで、ある程度ルールを説明しなければいけなくなり、そのせいで文字数がかさんでしまったのです。結果、ルールの説明とポーカーのゲームの進行に大幅に文字数を取られて、肝心のストーリーやキャラの心理描写に文字数を割くことができませんでした。

 このコンテストは文字数が6千字までと制限されており、私が書き上げた初稿は1万2千字近く。規定文字数を大幅に超えていました。今にして思えば、わざわざコンテストに応募する必要性は薄く、そのままにしておけばよかったのに当時の私はそこから無理矢理に文字数を削ってギリギリ6千字に物語を押しこめました。そのせいでかなりの急ぎ足な展開になっています。ポーカーの醍醐味は心理戦なのに何をやってるんだ……。

 

総評 題材選びは慎重に

 文字数が制限されている場合は尚更です。

 個人的には気に入っている題材なので、また今度中編か長編でチャレンジしたいです。

 

 

 

 

8作目「ある冬の日の冬優子」(シャニマス二次創作)

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 この前に書いた「あんたはここでふゆと死ぬのよ」が、自分の思っていた以上の人に読んでもらえて味をしめたのか、また黛冬優子の二次創作を書きました。

 今読み返してもキレイにまとまってると思うのですが……どうでしょうか。ところどころ変えたい表現はありますが、全体としてはそれなりにまとまった物になっていると自分ではおもうのですが。個人的に気に入ってます。二次創作、楽しいですね。

 

 

 

9作目「サンタがやって来る」

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  サンタクロースとそれを信じる子どもの話です。せっかくのクリスマスだったので記念に書いたものです。

 

 読み返してみると、シーン数や描写自体は初期の頃と比べてまともになったと思うのですが、どうも話の盛り上がりに欠ける気がします。中途半端に、そこそこ文章が書けるようになったせいで油断していたのかもしれません。ストーリーが弱く感じました。

 けれど逆に考えてみると、これまでは話の善し悪し以前に文体や描写の方に問題点が多く、肝心のストーリーについて語る以前の話でしたが、その点今作では文章自体に大きな問題点はないおかげかストーリーに意識を回すことができました。

 やっとスタートラインに立てたような気がします。

 

総評 常に攻めの姿勢を忘れることなかれ

 常に面白い物語を書く姿勢を大事にしていきたいです。

 

 

おわりに

 2020年の4月頃からほぼ休みなく年末まで、約8ヶ月の間ひたすら小説を書き続けました。上で書いたとおり、初期の作品は改めて見るとそれはまあ酷い物でした。ですが、書き続けることで最初期と比べてだいぶ成長したと思います。

 

 それで今回、これまでの活動を振り返ってみて自分なりに気づいた点としては、

  • 物語中のシーン数
  • キャラクターの造形

 この二点が現段階での大きな課題だと思いました。

 シーン数に関しては後半になって多少は改善されたものの、それでもまだ気を抜くとシーン数が増えがちです。物語の分量から考えてその都度適切なシーン数を考えて行きたいと思います。

 また、キャラクターの造形に関してはまだまだです。これも初めと比べるとまだ少しはマシになったとは思いたいですが、魅力的なキャラが描けているとは思えません。コレに関してこれから経験を積んでいくしかないと思うので、他の作品を参考にしながら魅力的なキャラを生み出す特訓をしていきたいと思います。

 具体的には、キャラクターに何かしらの欠点を持たせ、物語が進行するにつれてキャラが成長する過程を描いたり、何らかの大きな目的を持たせたりするようにしてみたいと思っています。これまで自分が書いてきたキャラにはそれらが欠如していたように思えます。

 

 最後に、これからの展望ですが、今年も引き続き物語を書いていこうと思います。昨年の活動が全くの無駄ではないということが分かり、モチベーションも高まってきたのでこの先もどんどん執筆の腕を上げていきたいと思います。

 ここまで読んで頂きありがとうございました。